正しくフムフム 食物アレルギーAllergy knowledge
ここでは、食物アレルギーに関するフムフムと思える確かな情報をお届けします。
食物アレルギーってなに?
食物アレルギーは、食べたり、触れたり、吸い込んだりした食べ物に対して、体が敵と思ってしまい過敏に反応してしまうことで起こる症状です。
触れたり吸い込んだりすることでも反応することがあるので注意が必要です。
乳児期に発症した鶏卵・牛乳・小麦などは、乳幼児期にアレルギー症状が出ていたとしても、小学校入学前までには治ることが多いです。ピーナッツや木の実類アレルギーはそれらに比べて治りにくいと考えられています。
食物アレルギーを発症しやすい食品は?
食物アレルギーの原因となるのは、食べ物の中に含まれるたんぱく質です。これを「アレルゲン」と呼びます。何がアレルゲンになるかはそれぞれお子さまによって違い、お子さまの成長とともに変わってゆくこともあります。
原因となりやすい食べ物は様々ですが、0歳児では鶏卵・牛乳・小麦が、1ー2歳児になると鶏卵・牛乳・小麦に加えて木の実類・落花生・魚卵などがあげられます。
日本では容器包装された加工食品において、表示が義務づけられた「特定原材料」と表示を推奨する「特定原材料に準ずるもの」があり、食物アレルギーの症例が多いものや症状の重さ等で対象とする食材が定められています。
特定原材料 8品目(表示義務あり)
卵・乳・小麦・落花生(ピーナッツ)・そば・えび・かに・くるみ
特定原材料に準ずるもの 20品目(表示が推奨されている)
アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・カシューナッツ・キウイフルーツ・牛肉・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・まつたけ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン
アレルギー症状が出やすい食材って避けた方がいいんじゃないの?
以前は気になる食材を避けることで食物アレルギーを予防できると考えられていましたが、厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)によると、「離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はない」と言われています。
食物アレルギーが心配だからと根拠なく避けるのではなく、少量からはじめることで、お子さまのさまざまな食との出会いを一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。
アレルギー症状が出やすい食材をはじめて食べるときに気をつけたいポイント
かかりつけの医療機関が開いている時間か確認しましょう
はじめて食べる食材をはじめるときは、かかりつけの医療機関があいている平日昼間をおすすめします。
はじめる前にアレルギーが起こったときをイメージしておきましょう
食物アレルギー発症時にどのような症状がでやすいのか、事前に知っておくだけで慌てずに対処できます。普段と違う症状が出た際に「どのような食材をいつどの程度食べたか、どのような症状がどのくらい続いたか」等を記録しておくと、かかりつけの医療機関への相談もスムーズです。
▶はじめて食材を食べて発症したときに役立つ経過記録表はこちらから
お肌が荒れているときはスキンケアをしっかりと
荒れたお肌はバリア機能が低く、そこからアレルゲンが入ってくる可能性もあるため、食物アレルギーの発症に繋がると考えられています。皮膚のバリア機能を保つため、普段から肌を清潔にして念入りに保湿しましょう。
食物アレルギーを発症するとどんな症状がでるの?
食べ物のアレルゲンによって、全身にさまざまな症状が引き起こされます。多くは食べてから15分から2時間以内に症状が出る「即時型」ですが、それより遅れて嘔吐や血便、湿疹などがでることもあります。
最も多い症状は皮膚症状ですが、咳や息苦しさ、ゼーゼーなどの呼吸器症状や意識もうろうなどの神経症状がみられる場合は、至急医療機関を受診することをおすすめします。
皮膚症状
- かゆみ
- じんましん
- むくみ
- 発赤
- 湿疹
- 全身に広がるじんましん
- 全身が真っ赤 など
呼吸器症状
- くしゃみ
- 鼻水
- 鼻づまり
- 咳
- 息苦しさ
- ゼーゼー
- ヒューヒュー(ぜん鳴) など
粘膜症状
- 目の充血や腫れ
- 涙
- 目のかゆみ
- 口の中や唇や舌の違和感
- 腫れ など
消化器症状
- 下痢
- 吐き気・嘔吐
- 血便
- 持続する(我慢できない)お腹の痛み
- くり返し吐き続ける など
神経症状
- 頭痛
- 元気がなくなる
- 意識もうろう など
全身症状
- アナフィラキシー
- アナフィラキシーショック など
※赤字の症状がひとつでも当てはまる場合は、ただちに緊急対応を行ってください
様々な症状がいくつも起こる場合は、「アナフィラキシー」、さらに血圧低下や意識を失うなどの状態になると「アナフィラキシーショック」と呼ばれ、命に関わる重い症状です。至急救急車の要請を行いましょう。
アレルギー症状が出たらどうしたらいいの?
はじめての食材を含む食品を召しあがった後にお子さまに普段と違う様子が見られた場合は、自己判断で対応せずにかかりつけの医療機関にご相談ください。その際、「どのような食材をいつどの程度食べたか、どのような症状がどのくらい続いたか」等を記録しておくと、かかりつけの医療機関への相談もスムーズです。
▶はじめて食材を食べて発症したときに役立つ経過記録表はこちらから
監修:独立行政法人 国立病院機構 相模原病院
海老澤 元宏先生